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後ろの正面だぁれ

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怪談の宴
ゲーム内の名前: 洸UNLOCK
ゲーム内のID: 6152093
サーバー: アジア
その日もいつもと同じ時が過ぎると思っていた。
なのに・・・どうして・・・。


今日は食事会の日。
週に1度、数時間だけ訪れる安息の刻。
この時だけは何故かハンター達が活動を止め、恐怖から解放されるのだ。
私達は定期的に集まり朝食を食べながら新たに出現したハンターや場所、仲間について話し合いをしていた。
「おはよう」
「あら、今日は早いのね」
集合場所であるホールに行くと既に自分以外の全員が揃っていた。
挨拶をすると真っ先に反応したのは親友のエミリーだ。
「もう体調はいいの?」
医師である彼女とはこのデスゲームで出会った。
ゲーム中、当然視界が眩むほどの頭痛に襲われしゃがみ込んでいる所に彼女が通りがかり、手を貸してくれたのがきっかけで仲良くなったのだ。
「うん、いつも迷惑かけてごめんなさい」
最近頭痛の頻度が増え、おまけに痛みも増しあまつさえ倒れる始末。
その度に彼女が診てくれ、本当に申し訳ないと思っている。
「私は医者よ?倒れた人を見捨てることなんて出来ないわ」
「ありがとう」
「さ、早く食べましょう。料理が冷めてしまうわ」
エミリーに促されるまま席に着く。
今日は洋食のようで、テーブルに置かれた湯気立つスープから放たれる香りが鼻腔を擽る。
話し合いがメインのこの会だが、実はこの料理を目当てに出席してる者も多い。
そういう私もその1人だったりする。
「・・ぐー・・・」
絶品の料理を前に堪らず腹の虫が鳴いてしまう。
(っ!?、しまっ・・・)
「待ちきれない者もいるようだ。そろそろ始めよう」
『わははははっ』
参加者全員から笑われ赤面してしまうのだった。


「いやぁ、ラッキーボーイのあの格好には笑ったよ」
「や、やめてくださいよ。僕だってしたくてしたんじゃ・・・」
朝食を食べ終え普段の緊張や恐怖から解放されたからか、この時間だけは皆安堵の表情を浮かべ談笑に精を出す。
いや、ほんの少しの限られた時間でもあの恐怖を忘れようとしているのかもしれない。
それほどこのゲームは狂気に満ちていた。
「私ちょっとお手洗いに行ってくるわね」
隣の席に座っていたエミリーが徐に立ち上がり廊下の暗闇へと消えていく。
「でもほんとによかったよ。またこうして全員で集まれて」
「見つかったときはもうダメかと思ったぜ」
数回目となる今回の食事会。
幸いにも誰1人と欠けることなく集まれたのはこの会あってこそだろう。
実際にハンターの弱点や仲間の能力が知れてから団結力が上がってるのは紛れも無い事実なのだから。
「ねぇ、エミリー遅くない?」
エミリーとは反対の方向に座っていた機械技師のトレイシーが話し掛けてくる。
言われてみれば確かに遅い。
時計に目をやると彼女がトイレに立ってからもうかれこれ10分は経っていた。
いくらハンターが活動しないとはいえ必ずしもそうとは言い切れない。
「私見てくる」
心配になった私は見に行くことにした。
席を立ちトイレのある廊下の奥へと歩を進める。
朝とはいえこの屋敷の全ての窓にはハンターの視線を遮る為に厚いカーテンがしてある。
おかげで光が差し込まず、おまけに電気も通っていない。
廊下を照らす灯りと言えば手持ちの蝋燭しかなく、自身の周りしか照らせず余計に不気味に思えてしまう。
(何度来ても慣れないな・・・)
食事会に参加する為にエミリーに連れられて初めてこの屋敷に来たときはお化け屋敷だと思ってしまった程だ。
怯えながらも目的の場所に辿り着く。
「エミリー」
微かな灯りが覗く個室に向かって親友の名を呼んでみる。
しかし返事はなく、代わりに返って来たのはカランカランという何かが落ちる音。
「エミリー?いるなら返事をして」
何度呼び掛けても返ってくるのは窓を打ち付ける風の音だけ。
こんな状況でもなければここまで心配することはなかった。
ハンターという狂気さえなければ。
「エミリー!?開けるよ!?」
灯りのある個室のドアに手をかける。
そのとき足に何かが当たった。
持っていた蝋燭で足元を照らしてみる。
「っ!?」
そこには彼女がいつも持ち歩いている見慣れた注射器が落ちていた。
「エミリーっ!?」
私はすぐさま目の前の扉を開けた。
しかしそこに探していた親友の姿はなかった。
「嘘・・・。まさかエミリー・・・」
最悪の事態が頭をよぎる。
これまで誰1人欠けることなくここまで来たというのについに・・・。
しかもそれが彼女だなんて・・・。
(とにかくみんなに知らせなきゃ!きっとマーサやウィリアムなら助けてくれるわ)
そう思ったときだった。
「きゃああああっ」
皆がいるホールの方から悲鳴がしたのは。
「ま、まさかハンターが・・・」
私は全力で来た道を引き返した。
いや、引き返そうとしたのだ。
ズキンッ!
頭を鈍器で殴られたかのような今までとは比べ物にならない程の痛み。
「あ"あ"あ"あ"あ"っ」
あまりの痛さに叫び声と共にその場に崩れ落ちる。
頭を抱え体をくの字に曲げ痛みが引くのを待つが一向に治る気配はない。
(なんで・・・こんなときに・・・っ)
早く行かなければ皆が・・・。
そう思うのに体が言うことを聞いてくれない。
おまけに意識も薄れてきていた。
(・・・こんなところで・・・終われない・・・)
薄れる意識の中激痛に耐えながらもホールに向かってゆっくりと這っていく。
何度か通ったこの廊下が果てしなく長く思えた。
こんなにも長かっただろうか。
やっとのことでホールの入り口に辿り着く。
「・・・み・んな・・っ」
無事でいて欲しいと願いながら中を覗き込む。
「っ!?」
しかし数分前最後に見たあの賑やかな景色は一変していた。
椅子は倒され、テーブルにあったはずの食器は全て床に落ち、辺り一面に割れたグラスや皿の破片が飛び散っていた。
ハンターの視線と日の光を遮っていたカーテンもボロボロに引き裂かれ、隙間から光が漏れている。
おかげでホールのいたるところに置かれていた蝋燭が消えた今でも暗闇になることはなかった。
だが光が差し込んだとはいえこの恐怖が消え去る訳ではない。
ぼやけた視界の中仲間の姿を探すが誰1人として見当たらない。
「・・・エマ・・ロイ・・ライリー・・」
1人1人名前を呼んでみるが返事はない。
よく見るとそこら中に仲間の物が落ちていた。
懐中電灯に銃、香水・・・。
(ほんとにみんなは・・・。私がもっと早く来ていれば・・・)
もう体も動かない・・・。
強さを増すばかりの痛みは残された意識までも奪っていく。
床に伏した私は最期に親友の名を口にしていた。
「・・・エ・・ミ・リ・・・」
そして薄れゆく意識の中私は確かに聞いた。
自分の背後からザザザという機械的で不規則で尚且つ不気味な砂嵐のような音を・・・。

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