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ナワーヴサベダー

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怪談の宴
ゲーム内の名前: ✩mamiya✩
ゲーム内のID: 2524890
サーバー: アジア
最終更新は 2018-10-18 16:07、mamiya による編集です




ナワーヴサベダーの話



人は何を持って「幸せ」と言うのだろうか。
幸せの証明は難しい。

戦闘民族のグルカ人として生まれた彼にとって人生の幸せは「名誉」だった。

ナワーヴサベダーは考える事よりも身体を動かす事を好む。

グルカ人は山に住む民族だ。
金を持たない、小柄な肢体、何かが特別に恵まれている民族ではないだろう。
しかしグルカ人には誇りがある。強き戦闘能力を生まれながらに学ぶ。
力を手にして海を渡り、家族に大金を送るのだ。

ナワーヴサベダーは幸運だ。
長年望んでいた夢であった難関と言われるグルカ兵に従事することが叶った。
若きグルカ兵の生活は楽しい。
培ってきた能力を活かし敵を翻弄、任務を達成、もちろん残念な別れもあるが、国の為の「名誉」の死であれば惜しくはなかった。

彼は母親に金を送った。
グルカ兵の制服に初めて袖を通した時、写真を撮った。その写真の中の母親は笑っている。


ーーー命の価値は誰が決めるのだろう。


同期のグルカ兵が憤慨している。彼は社交的で頭が良く、いつも正しい情報を仕入れてくれる。彼が言うには、名誉高いグルカ兵の給金は、イギリス兵の給与の三分の一も無いらしい。
作戦の時に、真っ先に先遣隊にさせられるのがグルカ兵ばかりなのは何故なのだろう。
イギリス兵にはクリスマスの休みがあるらしい。グルカ兵には休みは無かった。


ーーー「誇り」とは何だろう。


ナワーヴが気がついた時には同期のグルカ兵士は半分よりも少なくなっていた。彼らが忠告してくれた様に頭を使い、この現状に拒否を示すために別の生き方を探すべきでは無いだろうか。この場から離れたらそれは「誇り」無き逃走になるのだろうか。

ナワーヴサベダーは考える事よりも身体を動かす事を好んだ。

彼が思考から逃れている間も戦場に休みはない。培ってきた能力を活かし敵を翻弄、任務を達成、同僚の死、名誉ある死、イギリス兵よりも劣っている賃金の同僚のそんな名誉ある死、死亡率の高い先遣隊にいつも回されるグルカ兵の死…そしてこの作戦が終わっても繰り返すのだ。ナワーヴの「名誉」の死はいつだろう。そしてそれは誰にとっての「名誉」なのだろう。


ナワーヴサベダーはグルカ兵を辞める。
「グルカ兵の自分」から逃げ出したのだ。


そこからのナワーヴは逃げ続ける人生だった。彼は「名誉無き自分と向き合うこと」から逃げ出した。彼は無所属の傭兵になる。
彼は「戦わなければならない現実」から逃げ出した。無所属となった彼に立ちはだかった敵はグルカ兵だった。何を持って敵とし、何を持って仲間とするのか。そのうちに彼は思考から逃れ戦場から逃げ出したのだった。


神様は人間に乗り越えられない試練は与えないという。

今、ナワーヴは不思議な荘園に居る。
若年から中年位の男女が複数人集まっているが皆一様に不安げな表情を浮かべている。


ーーー脱出したければ協力し、立ち向かえ


彼は初めて思った。
ーーー面白い。

俺は今まで充分に逃げ続けた。
神が与えた試練なら今こそ向き合い戦うべき時が来たのではないだろうか。
彼はこの名も知らない仲間達を一瞥すると自分と彼らの生存の為に力を尽くそうと決意した。それがグルカ人としての、ナワーヴサベダーの「誇り」なのではないだろうか。

「名誉」の為に彼は走る。
荘園で命を燃やす事で過去に向き合う、そこに初めて「名誉」を感じ彼の「幸せ」に向き合ったのだった。
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