|
怪談の宴
ゲーム内の名前: |
うさんちゃん。 |
ゲーム内のID: |
9161918 |
サーバー: |
アジア |
彼女は言うのです。
大切なものを取り戻すの。と。
私は彼女がここに来てしばらくしてから、彼女に着いていくことにしました。私は思うのです。彼女を見ていたいと。彼女の心に巣食う感情が、色を持つまで。
しかし、私は何も出来ないのです。彼女に着いてゆくのに、私は何も出来ないのです。手を差し伸べることも、助言をすることも、許されないのです。それでも私は、彼女を見ていたいのです。それが私のエゴイズムだとしても、私は彼女を見守るのです。
彼女がここにやって来た時、その瞳は泣き腫らした痕の強い意志を宿していたのです。悲しみや怒り、絶望の色を含み、その色はとても濁っていたのです。しかし、より強く灯るのは、「なぜ?」という問いかけ。彼女は答えが欲しかったのでしょう。
ーーー「私は、大切なものを取り戻すの。そのためにやってきたの。」
そう語る彼女の後ろ姿は、とても寂しそうだったのです。
小さな世界でも、その世界を唯一の幸せとし、そこに生きる選択をしていた彼女にとって、ここに来たことは今までの彼女を大きく覆すほどの出来事が起こったからなのでしょう。
しかし、彼女はここに来た時とは裏腹に力を失ってゆくのです。信じ難い現状を目の当たりにし、そこにまっていたのは対立、逃走。彼女は再び絶望を手に入れ、心を塞ぐのです。
そんな彼女にも、私は何も出来ないのです。
「貴方は、どうしてここに?」
彼女が心を塞ぎ色のない瞳を向けたのは、彼女に話し掛ける仲間が居たからなのです。彼らはダイニングテーブルに座り、対立を待つ間話すのです。廃れたその場所に彼らは集まり、様々な話をするのです。
彼女は、奪われた幸せを取り戻す為に、彼女自身の大切な人に再び会うためにやってきたことを、彼らに少しずつ話してゆくのです。彼らは、彼女の決意を讃えたのでしょう。私は、その瞳に宿る魂が、色を変えたのを見たのです。
彼女は至って、前向きなのです。心を塞いでいた時も、ここに来た時も、私を連れてゆくと決めた時も、そして今も。
彼女は今、新しい幸せを見つけているのです。もちろん、彼女自身はそれを知らないのです。
今日も仲間たちと、微笑んでいるのです。
私は何も出来ないのです。
彼女が幸せを取り戻し、本当の微笑みをその瞳に灯しても。
彼女を見送ることしか出来ないのです。
私の役目は彼女の傍に寄り添い、決して1人にさせないこと…
この翼には呪いがかかっているのです。 |
|