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怪談の宴
ゲーム内の名前: |
TENKO |
ゲーム内のID: |
1109786 |
サーバー: |
アジア |
第五人格をテーマにして書く怪談とお聞きしたので、
キャラクターを使ってのホラーな物語をお話します。
あの日はまだ、看護師の仕事に務めたばかりの頃。
ちょうどその頃に新しいアパートに引っ越し終えた看護師、エミリーは荷物の入ったダンボールを整理していた。
少し古いアパートでしたが、日当たりの良さや仕事場の近さに惹かれここに決めたのだ。
数時間の間、エミリーは荷物整理をしていたが段々と集中が切れてきてしまい休憩がてらに珈琲でも飲もうと立ち上がった。
ふとその時だ。音に気がついたのは。
サッサッと箒で床をはくような音。
古いアパートなので壁も薄く、隣の部屋から聞こえる音だとすぐに分かった。
お隣さんも掃除をしているのかな?
そうエミリーは特に気にもとめずその場を後にした。
だが、次の日、その次の日もまた同じ時間に箒の音が聞こえる。その時間と言っても夜の9時。
さすがに奇妙に思ったエミリーは次の日に、挨拶がてら隣の住民に会って話してみようと考えた。
そしてその次の日、エミリーはお菓子の入った箱を手に隣の部屋を訪ねる。
「はーいなの」
声が聞こえて扉が開き、中から顔を出したのは可愛らしい女の子。歳はエミリーより下のまだ10代に見えた。
「こんにちは、数日前に隣に引っ越してきたエミリーと言います。」
「こんにちは、私はエマ。エマ・ウッズって言うなの!」
明るく元気なエマに、エミリーは少しホッとした。変わった人が出てきたらどうしようかと考えていたからだ。
お菓子を手渡し、少しの間ここの事を色々と話していたがエミリーは話しついでに音のことを聞いてみようと口を開いた。
「ねぇ、いつも夜の9時くらいに箒の音がするけど、掃除をしているの?」
だが、その話にエマは少し目の色を変えて微笑んだ。
「まだお父さんがいるなの」
そう小さく呟くエマはエミリーがいるにも関わらず扉を閉めた。
1人残されたエミリーは驚きつつ、仕方なく自分の部屋に戻る。
そしてその夜、再び聞こえる箒の音、昼間のエマの反応に段々とエミリーは恐怖心を覚えていった。
ある日耐えきれずに大家さんにその連絡をした。
「あの……お隣さんの…ウッズさんの事なんですが……」
「あぁ、やっぱり。」
大家さんは何か知ってる。エミリーは大家さんに問いただすと、最初は口を割らなかった大家さんも観念し口を開いた。
「ウッズさんのお父さん、先日亡くなってね。首吊りで自殺だったんですって、エマちゃん一人残して。
その日からエマちゃん、ちょっとおかしくなっちゃって。
まだいるって言うのよ。お父さんが……まだいるって。
エミリーさんの前にそこに住んでいた…ほら、弁護士のフレディさんもその影響か何だかおかしくなっちゃって。
音が聞こえるとか言うのよ。サッサッって、首を吊って足が床を擦る音が。」
ちょうど音がなり始めた。サッサッと。足を擦る音が。全身が強ばり動かなくなる。
1分くらいそのままだった。大家さんの声が耳から遠くなり、隣の音に集中してしまう。
「フフっ」
可愛い声が聞こえた。次の瞬間、弾かれるようにして部屋を飛び出した。
その日は家に帰らず友達の家に泊めてもらい、次の日の昼間に引っ越す準備をした。
それから半年が経った今でもあの日の恐怖は忘れられず、あそこに住んでいてたエマがどうなったのかも分からない。
結構長くなってしまいましが、皆さんの目に止まればと思います。 |
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